毎月、山口県の医療生協健文会の機関紙
「健康のひろば」に連載している憲法の話、
10回目で、これで最終回です。
日本国憲法は、人権の規定でも、徹底した平
和主義の点でも、世界に誇れる憲法です。しか
し私たちの生活や働き方、日本の政治の中身を
みると、憲法とかけ離れている気がしませんか。
なんだかモヤモヤします。そんな私たちを、憲
法は叱咤激励します。
不断の努力を日常から
そのメッセージは、12条にあります。「こ
の憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民
の不断の努力によって、これを保持しなければ
ならない」。
不断を辞書でひくと、「休みなく続けられる
こと」(三省堂『新明解国語辞典』第7版)と
あります。ちょっと油断して休んでいると、人
権保障は骨抜きにされるからです。みなさん、
休んじゃってませんか?(笑)
努力の中身も、憲法にヒントがあります。ま
ずは憲法を守る政治家を選ぶための投票に行く
こと(15条。参政権)、こうしてほしいと思
うことがあれば国に物申すこと(16条。請願
権)、自分の意見をまわりに伝え議論すること
(21条。表現の自由)、家族生活でも自分を
犠牲にしないこと(24条。個人の尊厳)、国
民の人権に対する国の責任を果たさせること
(25条生存権、26条教育権、27条勤労権)、
そして労働組合で活動すること(28条、労働
基本権)、などです。どうですか? けっこう努
力のメニューがありますよね。
主権者は、わたしだ!
そしてなにより、憲法前文。「日本国民は、
(略)・・・ここに主権が国民に存することを宣言
し、この憲法を確定する」。私はどんな地域や
国をのぞむのか。私はどんな生き方がしたいの
か。それを決めるのは主権者である私です。人
権の担い手として、自律的な生を生きるのが、
「個人」です。大事な問題も他人まかせ、政治
はよくわからない、これでは国家にいいように
使われてしまいます。主権者らしい主権者に成
長する「不断の努力」を、まわりのみなさんと、
コツコツ続けていきましょう。憲法は、いつで
も私たちのそばにいます。
これで連載を終わります。ありがとうござい
ました。