長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

超入門!ろうどうくみあい講座2

昨夜は、倉敷医療生協労組で、
「超入門!ろうどうくみあい講座Ⅱ」の1回目。
昨年10回にわたり行った連続学習会の2015年版。
今年は全8回で12月までやります。

青年部中心の取り組みで、
昨夜は初参加数名ふくむ11名の青年が参加。
好スタートをきりました。

「セイネン労働者は、いま」というテーマで
学んだのですが、感想交流では、
それぞれの経験や働き方の具体的な話も
いろいろ出て、有意義でした。
今後が楽しみです。


感想文を3つほど。

■日本だけが保障されてないことっていうのは
本当に多いのだと思いました。1人だと行動を
起こそうと思っても出来ないことも、このように
皆さんと一緒にいろいろなことが出来たら
心強いし、みんな頑張ってるから自分も頑張りたい
と思いました。

■職場内だけでなく、視野を広げていくことが
必要だと感じました。自分が何のために働いて
いるのかを考えさせられる内容でした。とくに
給与・待遇のことをあらためて考えてみると
すごく身近なことに感じました。ブラックバイトの
ことは、人として最低限の権利が尊重されていない
と感じた。

■今回初めてろうどうくみあい講座に参加して、
労働者の権利や日本がおかれている状況に
ついて知ることができ、勉強になりました。
「ブラックバイト」にあたっていたんじゃないかと
思う友達もいて、身近な問題であると感じる
ことができました。働きやすい職場になっていくと
いいなと思います。



講義の概要は以下。

はじめに:この講座の目的とこれからのカリキュラム
第2回「団結ってなんだろう」
第3回「団結のカナメ、要求を哲学する」
第4回「日本国憲法と労働基準法」
第5回「労働契約、就業規則、労働協約」
第6回「労働組合は“なんでも屋”」
第7回「ストライキとはなにか」
第8回「仲間がいるからがんばれる」 

◇セイネン労働者のかかえていること
*まず確認。「労働者」って?―誰かに雇われて(労働契約)、
賃金を得て生活する人のこと。日本では約5200万人。
*労働時間内は、使用者の指揮命令下に。
業務内容も一般的には使用者が決める。
*労働条件に関わること、労働時間、休日、休息、年休
などのルールは労働基準法で。
*賃金の下限は最低賃金法で。
ほかに、労働安全衛生法、労働契約法・・・などの労働法。
*この労働法は、使用者に比べて立場の弱い労働者を守るためにある。

◇なぜ働くのか?―生活を支えることがまず土台。
*生活を成り立たせ支える要素
―「賃金」「時間」「健康」「人間関係」「社会的労働」
*生活には、「生存を保つ」という側面と、「よりよく生きる」という側面。
*生活にゆとりがあれば、「よりよく生きる」条件が広がる。「ゆとり」と
は・・・。
・「余裕のあること。窮屈でないこと」(岩波『国語辞典』第5版)
・「当面の必要を満たしたあとに、自由に使うことが出来る空間・時間や体力、
他のことを考えるだけの気力があること」(三省堂『新明解国語辞典』第7版)
   ・ちなみに「ゆとり」は、「寛容」や「民主主義」、「主権者としての成
長」にも。
*日本は生活費にお金がかかる国。
―住宅、教育、医療、保育、介護、移動、通信・・・。
*必要な生活費にいっぱいいっぱい。
・「よりよく生きる」ためにまわすお金が…。
*年金(定年退職後の生活費)が支給されるのは、
65歳から・・・(それも引き上がるかも?)
*財産がなければ(ないのが労働者の特徴)、
65歳まで「働き続けなければならない」

◇しかし、「働き方」に暗雲―深刻な若者雇用
  *雇用の不安定化
―非正規労働者の割合が増えている(低賃金、能力開発機会少なく)
*初職(学生バイト除く)が非正規労働者の割合
―1987年10月~1992年9月には13.4%だったものが、
2007年10月~2012年9月には39.8%に(厚生労働省調査)。
*非正規雇用で勤務した理由(厚生労働省調査)
―1位正社員求人に応募したが採用されなかった(27.4%)
2位自分の希望する会社で正社員の募集がなかった(16.7%)
3位もともと正社員を希望していなかった(15.4%)
*正規労働者は長時間労働が強まる傾向。職場の多忙化。余裕のなさ。
*ブラック企業問題も(ブラック企業とは、若者を正社員として大量に採用し、
短期間に『使い潰す』企業のことを指す)
  *つまり、「ゆとり」が持てない状況にあるセイネン労働者が増えている。
・働くことを通じて、自らの生活を成り立たせていくことへの不安
   ・平穏で「ふつう」の将来を設計し、実現することへの不安

◇権利について、労働組合について、教えられていない
*権利とは、相手方の顔色を見ながら行使するものではない
*「権利には義務が伴う」というのは、まちがった「常識」です。
*権利行使が困難なうえ、さらに権利自体を教えられていない実態がある
*「働き方」を改善していくための「労働組合の必要性」についても未学習

◇ブラックバイトと奨学金問題
*ブラックバイトとは、「学生であることを尊重しないアルバイト」のこと
*背景に、学生の経済状況の激変
・高い学費、親世代の家計状況(中間層激減)、
奨学金は「貧困ビジネス」化
*おおきな借金をつくらされて卒業するセイネンが増えている
・とにかく正社員での就職に執着。自分の安売りに。
働き方・結婚などにも影響。

◇労働組合をがんばるセイネンのお話―みんな、悩みを抱えながら・・・
 ◇「私のストーリー」(東海林亮子、『学習の友』2010年5月号)
 ◇「仲間をつくってきた さあ、これからは・・・」(坂本雅美、同上)
 ◇「課題は山積み、でも・・・」(松崎実和、『学習の友』2011年12月号)


以上。