長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「これを伝えるしかないと思った」

遅くなりましたが、先週の労働学校(22日)の報告です。
91期「時間を考える教室」の第7講義は、
「労働時間短縮の歴史とその原動力」でした。
参加は11名でした。

以下、講義の概要です。


一。資本主義社会では、労働時間は伸び縮みする
 
1。資本主義以前では
 2。労働契約(つまり交渉の力関係)によって労働時間の長さが決まる
  ◇「雇う―雇われる」関係性の労働が支配的に。力関係で伸び縮み。
  ◇産業革命後、一気に伸びた労働時間。機械化による変化。
  ◇労働時間を法律で制限するたたかいが起きる
  ◇8時間労働制を求めたたたかい。メーデー(5月1日)の起源。
  【8時間労働制について、あらためて確認】
 3。労働時間の制限は、20世紀に大きく前進
  ◇第1次世界大戦(1914~1918)を転機にして起った変化
  ◇1936年、「人民戦線」の時代に、フランスで勝ちとられた団体協約
  ◇第2次世界大戦と国際連合発足
  ◇尊厳=人間として労働者を扱うこと。人間らしい生活を保障すること。
 4。あらためて、労働組合の役割について確認。労働者の尊厳を守る組織。
  ◇立場の強弱がはっきり。尊厳が侵害されやすい領域。

二。残業地獄は生産性にも深刻な影響
 
1。起きてから13時間が集中力の限界
 2。睡眠時間が短いとメンタルになりやすい
 3。寝だめはダメ
 4。月45時間の残業をこえると、健康リスクが高まる

三。日本での当面必要な労働時間規制
 
1。残業時間の上限規制と割増残業代の支払い
  ◇日本の労働法制に2つの決定的な弱点がある。
 2。残業時間の上限規制とインターバル規制を行う労基法改正を
  ◇残業時間の上限
  ◇勤務間に最低11時間の連続休息時間を確保するインターバル規制を導入。
 3。残業代による長時間労働抑制
  ◇長い残業時間には割増率を増やす
   「賃金不払い残業」へのペナルティー強化
  ◇「賃金不払い残業」や残業時間のごまかしを許さない法規制を強化する
 4。労働法を守らせる監視体制と違法行為への社会的制裁を強化する
  ◇労働基準監督署の体制を大幅に強化する。


以上。


感想文をいくつか紹介。

■8時間労働に至った歴史の重みと先人の思いを
ムダにせず、人間の“尊厳”を守るため、あらためて
長時間労働の問題にむきあわねば!!と思いま
した。分かりやすく感動的なお話ありがとうご
ざいました。

■今日の学習内容は本当に「要」。これを伝える
しかないと思った。少しでも早くヨーロッパ並の
労働環境にまで持って行きたい。

■労働時間が短くなったら、みんなの自由が広が
る。そうなるために、声をあげねば。

■不払い残業に対する残業代2倍はいい! 経営者
には本当に圧力をかけないと本気で取り組んで
くれない。あとタイムカードの記録を毎月給与
明細と一緒に本人に渡すべきだと思います。

■労働時間に関して国内の大変な現状を改めて
振り返れました。班での話もいろいろな立場の
お話を聞けたし、じゃあ自分が学んだらこれか
らどうするのかも皆で意見が出せて良かった
です。小さな1歩でも少しずつ日本の現状が良
くなるように進めばいいと思いました。

■日本は「インターバル規制」を導入すべきだ!
と強く言いたい。国が過労死や長時間残業の
対策をしなければ、日本人の働き方は変わらな
い!と感じた。