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長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

11月に読んだ本

県外移動が多かった11月。
ほとんどは移動中に読んだもの。


■『社会を変える23章 そして自分も変わる』
     (川田忠明、新日本出版社、2015年10月)
ひと言でいえばかっちょいい。語り方、姿勢。
文化的なお話もふんだんに。川田さんらしい。
若い方々との「対話講座」がもとになっているという。
こういう取り組みが津々浦々で必要なんだろうな。


■『回廊封鎖』(佐々木譲、集英社文庫、2015年10月)
息をつかせない犯罪小説。ぐいぐい読めた。
消費者金融の被害者たちが、元社員や元専務に対して
復讐をするという話だけど、現代社会の圧倒的な
格差のなかで生活を破壊された人びとの心情や
ベクトルを描いていて考えさせられる。


■『若者と労働ー「入社」の仕組みから解きほぐす』
          (濱口桂一郎、中公新書、2013年)
「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という角度から
若者の雇用問題を考える内容。
なるほどと思ったし大事な視点だけど、この点だけでは
不十分とも感じた。「ジョブ形正社員」の提起にも少し違和感。


■『緑の毒』(桐野夏生、角川文庫、2014年)
移動時間の一気読み。妻の浮気をきっかけに
連続レイプ犯になってしまう開業医。
被害者や周辺の人間の視点を入れ替わり立ち替わり
交差させながら展開。人間の負の感情と破滅を
描く桐野文学は、ピリッと胸がうずく。


■『こども東北学』(山内明美、イースト・プレス、2011年)
宮城県三陸で育ったという、ぼくより2つ若い著者。
「東北」という視点を切り口に、食のこと、農業のこと、
都市と僻地のことなど、わかりやすく問題提起。
原発事故で汚染された海・土地をわが身のこととしてとらえる大事さ。


■『北への旅ーなつかしい風にむかって』(椎名誠、PHP文庫、2014年)
北東北、つまり青森・秋田・岩手の各地(海べりが多く)を
シーナさんが写真をとりながら旅をする。
これまで書かれた北東北旅の寄せ集め文庫だけれど、
青森で読んだからいいんだなあ、これが。


■『プラトンとの哲学ー対話篇を読む』(納富信留、岩波新書、2015年)
言わずと知れた古代ギリシャ哲学の巨人のひとり、プラトン。
彼の残した対話篇をひもときながら、哲学について考える内容。
前半面白かったけど、後半は抽象的な議論多く、なんだかなあ。
イデア論はやっぱり観念的。


■『一冊の本が学級を変えるークラス全員が成長する「本の教育」の進め方』
                    (多賀一郎、黎明書房、2013年)
本には力がある。著者の信念と本への愛がビシバシ伝わってきた。
こどもたちは本に出会う機会がないだけ。
シャワーのようにたくさんの本を紹介する。
労働者教育もおなじですね。


■『「みんなの学校」が教えてくれたこと
 ー学び合いと育ち合いを見届けた3290日』(木村泰子、小学館、2015年9月)
映画『みんなの学校』の校長先生が著者。
映画にも驚かされたけど、本書も学び多し。
読む人によって得る中身や角度も違うかな。
ぼくは教育論・教師論として読んだ。


■『戦場が見える島・沖縄ー50年間の取材から』
           (嬉野京子、新日本出版社、2015年9月)
米軍占領下での撮影ルポの緊迫感は、当時の雰囲気を伝える
ものとしてとても貴重。沖縄問題はするどく人権問題だと
あらためて思う。来年1月の宜野湾市長選挙もまた応援に行かねば。


■『跳びはねる思考ー会話のできない自閉症の僕が考えていること』
            (東田直樹、イースト・プレス、2014年)
とても新鮮で瑞々しい視点や感覚がちりばめられている。
会話のできない重度の自閉症の著者がこうして言葉を
紡いだり講演をしたりすることに驚くという「自分の常識」の狭さ。


■『経済的徴兵制』(布施祐仁、集英社新書、2015年11月)
丹念な取材と調査。自衛隊の「隊員募集」という切り口から
自衛隊の現在と抱える歪みについて考察。
著者の『災害派遣と「軍隊」の狭間で』の続編的印象。
国民の一致した支持がないところでの海外派兵は
隊員の葛藤を深くする。


■『雇用身分社会』(森岡孝二、岩波新書、2015年10月)
日本の雇用は「多様な形態」の名のもとに、
「身分階層化」してしまっている。だからこそ人権の観点が
雇用問題でも必要と強く感じる。
雇われ組が団結するためには何が必要か、
その運動論がないので、モヤモヤな読後感が残る…。