長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

5月に読んだ本たち

5月に読み終えた本を紹介しておきます。
ツイッターでの記録をそのまま載せただけですが・・・。


■『私の中の私たちー認識と行動の弁証法』
(いぬい・たかし、いかだ社、1974年)
ぼくが生まれたトシに出た本だから、古さも感じるが、
今だからこその新鮮さも感じる。
「対話が不能になったといわれる時代に…」と
冒頭にあり、びびる。
このような認識論や集団論、いまも必要だよなあ。


■『ルポ 保育崩壊』(小林美希、岩波新書、2015年4月)
読んでいて胸が痛くなるしかない保育の現実。
「質の崩壊」が広がれば、すぐれた保育実践を
しているところもいずれ侵食される。構造的政治的問題。
私見では、保育士を中心とした労働運動が打開の
カギだと思うが、言及は少なめ。


■『がん看護へのことづて』(武田悦子、すぴか書房、2011年)
ソワニエ読書日記2冊目。看護師・看護教諭の
経験をもつ筆者が、2007年に乳がんと診断される。
それから逝去するまで約3年半の闘病ならびに
看護・医療の支えやあり方について、
看護師の視点で考察したもの。学び多し。


■『オバマの経済政策とアベノミクス
ー日米の経済政策はなぜこうも違うのか』
(萩原伸次郎、学習の友社、2015年11月)
前半は近年におけるアメリカの経済政策について。
中間層重視、貧困対策、富裕層への増税など、
共和党の妨害にあいながらも
その政策実行がもたらしたものを分析。


■『日常を愛する』(松田道雄、筑摩書房、1983年)
小児科医の著者が、毎日新聞に連載していたコラム集。
マルクス主義へのあれこれ批判的意見も
ありなかなかおもしろかった。
しかしなにより「日常」についてのいくつかの
視点が得るところあり収穫。


■『上田耕一郎著作集 第3巻 理論戦線での提起と探求(上)』
(上田耕一郎、新日本出版社、2013年)
やはり時代を感じさせる論文で、斜め読みも多く。
しかし、「理論・思想戦線における若い活動家の教育と育成、
後継者の保障」という問題は、現在深刻でないかな。
とくに地方では。


■『中高年ブラック派遣ー人材派遣業界の闇』
(中沢彰吾、講談社現代新書、2015年4月)
本屋でこの本を目にした瞬間、真っ黒な
装丁に「うっ」となったが、中身も憤りと怒りしかない。
日本の派遣労働は奴隷労働と化している。
そんな中、労働者派遣法改悪案が、
きのう衆議院で審議入りした。


■『居住福祉社会へー「老い」から住まいを考える』
(早川和男、岩波書店、2014年)
早川さんの本久しぶりに読んだ。
人間にふさわしい居住は人権であり福祉や民主主義の土台。
こうしたあたりまえの認識がなかなか広がらないんだよなあ。
「日本列島居住福祉改造計画が必要」に全面同意。


■『人間らしく働き生きるー労働者・労働組合の権利』
(萬井隆令、学習の友社、2014年)
労働法の解説書。安倍政権は労働法を「岩盤規制」なんて
言ってるけど、使用者に比べて圧倒的に立場の弱い
労働者を法によって守るのは当然。
学校で労働法もっと教えてほしい。労働組合のことも。


■『看護技術ーナラティブが教えてくれたこと』
(吉田みつ子、医学書院、2014年)
一般化(法則化)された看護技術をもちいながらも、
ケアする相手は個別の人格・生活様式をもった
ひとりひとりの人間。
その個別具体化なケアの事例を物語りながら、
さらに看護技術を磨く往復関係に焦点。