長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

年休の買取りについて

今日のお昼は倉敷医療生協労組の
ろうどうくみあい入門講座第5回「知っておきたい働くルール」。
コープリハビリステーション病院にて。10名参加。
感想交流も、あれこれ意見交換あり。

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ひとつ、年次有給休暇の「買取り」について
なかなか年休と取れない状況の方から質問があったので、
「気持ちはわかりますが、基本的に買取りはダメです」
と回答しました。

あらためて、
藤本正弁護士の『時短革命』(花伝社、1993年)から
引用しておきます。

「年次有給休暇の買取りは許されない。年休が
消化できないということから、買取りをする
企業がある。このようなことに協力しはじめると、
年休は完全消化のほうに向かわず、むしろ消化
されない方向に逆行する。さらにそれは、事実上、
年休を多く取ったものをマイナスに評定させる
ことにつながっていく。努力すべきことは買取ら
せることではなく、消化させることである。
労働省もまた、買取りは労働基準法39条違反だと
いっているし(基収4718号/1955年11月30日)、
ILOも年休の買取りを禁止する」(180~181P)


ほかにも藤本さん、大事な指摘をされているので、
あらためて引用しておきます。

「年休権は、どこの国でも、まとめて取るものである。
それなのに、私たちの国においては、権利としての
年休を1か月まとめて取ることすら問題とされる」(149P)

「年休を満足に取らないこと、それは、自らの生命と
健康を、切り刻み、家庭の平穏を捨てていることに
なる。年休は、疲労回復のためにだけあるのではない。
労働という名の、他者からの支配・従属から離脱して、
自分の時間として、自分の生活をエンジョイするために
ある。年休権の保障こそ、8時間労働制と並んで、
働く者の生存権『人間らしく生き抜く権利』の中核的
部分を占めている」(157P)

「年休が働く者の権利であり、使用者には、年休が
消化できるように配慮すべき義務がある以上、年休権は
配慮義務を遵守しない使用者の手によって奪われたに
等しい」(158P)

「年休権は、生存権に直結した基本的な権利であり、
労働の対価として付与されている。したがって、
この権利の行使が適正になされるように、使用者は
要員を配置するなど、配慮する義務がある。この
ような人員配置がなされていないこと自体が、実質的
には、労働基準法に違反する」(161P)