長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

2月もしっかり学ぼう。

最近読み終えた本。

■『ケアの倫理-フェミニズムの政治思想』(岡野八代、岩波新書、2024年1月)
新書だが研究書に近く、政治思想史やフェミニズムの議論に
慣れていない人にとっては難解かな…。途中で挫折しそうになったら、
5章と終章だけでも読んでほしい。
ニーズに応えるケアの責任から社会を見つめ直す。

 ■『地下鉄で隣に黒人が座ったら』
(イェロン著・村中千廣訳、かもがわ出版、2024年2月)
韓国在住漫画作家の実体験にもとづく漫画エッセイ。
めちゃ読みやすいのと、自分や社会の抱く無自覚な偏見を学べて素晴らしい。
マイクロアグレッションのダメージもリアルに伝わってくる良書。

■『海の中から地球が見える〜気候危機と平和の危機』
(武本匡弘、あけび書房、2023年)
プロダイバーであり環境活動家である著者。
実際に海中で写されたサンゴ白化の様子や太平洋の島々での
気候危機による変貌ぶりが胸に痛い。人類は戦争なんかしてる場合ではない。
軍隊もなくすしかない。

■『社会を結びなおすー教育・仕事・家庭の連携へ』
(本田由紀、岩波ブックレット、2014年)
戦後日本が急速に作り出してきた、
仕事(父の賃金)→家庭→教育→仕事→家庭→教育という循環モデルの破綻。
新しい循環モデルの見取り図を提示。
こうした視点からの分析もあるのかと思った。

■『NHK 100分de名著 ローティ 偶然性・アイロニー・連帯』
(朱喜哲、NHK出版、2024年2月)
うーん、イマイチだった。放送見たら印象少し変わるかもしれないけど。
「会話」を守る、という姿勢や態度には共感した。

■『夜明けのすべて』(瀬尾まいこ、文春文庫、2023年)
ケアに満ちた小説だった。相手の状態やニーズに関心をもち、応えようとする。
ケアから生まれるもの。
PMS(月経前症候群)、パニック障害についても、抱えている人の
苦しみや思いについてまったく知らなかったので、そこも良かった。

■『ハグとナガラ』(原田マハ、文春文庫、2020年)
おたがい仕事や介護を抱えながら、時々、女ふたりで旅に出かける。
作者の体験がベースにある旅小説。
原田さんの『旅屋おかえり』も大好きな小説だし、
こんなふたり旅もいいなあ、と思う。ぼくも、旅を続けよう。