『講座 教育実践と教育学の再生ー別巻・戦後日本の教育と教育学』
(教育科学研究会編、かもがわ出版、2014年)を読み終える。
別巻が出ていたのは知らず、本屋で見つけて購入。
このシリーズ(5巻もの)は全部読んでいたので。
本書では、タイトルのとおり、
戦後日本の教育と教育学について、
多角的に論じられている。いやあ、蓄積がすごいね。
が、なかなか歯ごたえがあって入門的ではないですね。
労働者教育にひきつけて一番参考になったのは
第1部9章の「教育実践を理論化・一般化するいとなみ」(藤田和也)。
これを読みながら、
労働者教育の現在のおおきな弱点のひとつは
この「実践の理論化・一般化」だろうな、と。
「すぐれた実践を一般化し、それを仲間の共有財産にする」(198P)
こと。これが深刻なぐらい少ないと思う。
「『典型化』とは、個別の実践のなかに、実践の発展の
可能性をはらんだ普遍的な意味や方法(広く共有されるべき
法則性)をとらえると同時に、個々の実践の1回きりの
かけがえのない固有の意味と特徴をとらえて、それを
いきいきと描き出すこと」(208P)
教育実践の批評の場がないですからね、いま。
労働組合運動のなかの学習教育活動もほぼ似た状況かと。
学びあう機会が少なすぎですね。
教育実践批評とは、
「具体的な教育実践(対象に発達的な変化を促すことを意図して
はたらきかける行為や営み)に即して、そのはたらきかけの方法的・
技術的検討を行ってその妥当性や有効性を吟味するとともに、その
過程や結果の教育的・発達的意味をとらえてその実践の持つ固有の
意義や教育的価値について評価し、論ずること」(215P)
など。
第2部の実践記録(本)紹介は、
何冊も読みたい本が。さっそく注文しました。