長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

読書記録

沖縄からの本土爆撃

最近読んだ本。『沖縄からの本土爆撃~米軍出撃基地の誕生』(林博史、吉川弘文館、2018年) 米軍の沖縄戦そのものが、日本本土進攻のために出撃基地確保という目的をもっていた。4月1日の上陸後、すぐさま滑走路の接収・整備・拡張が行われ、沖縄戦の真っ…

沢山さんの新刊です。

岡山労働学校などで以前、数回講演いただいた沢山美果子さんが、岩波新書から新刊を出されました(8月刊)。 『性からよむ江戸時代~生活の現場から』(820円+税)です。江戸時代の人々の性意識や規範を、史料から丁寧に読み解いています。現代の価値観から…

『ブラックウェルに憧れて』を読む

土曜日(19日)は相方が調子イマイチで(痰が多く)、午後の会議も休ませてもらい、1日オウチに。といってもヘルパーさんいるのでひとり介護ではないですが。そんなわけで一気に『ブラックウェルに憧れて』(南杏子、光文社、2020年7月)を読み終えました…

いつものように乱読

最近読んだ本。 『「知識基盤社会」論批判―学力・教育の未来像』 (佐貫浩、花伝社、2020年3月)いつものように、佐貫さんはラディカル。「この本で展開した論理は…今日の経済学と教育学をつなぐ一つの挑戦」と述べられている。グローバル資本によって歪めら…

『官製ワーキングプアの女性たち』

『官製ワーキングプアの女性たち~あなたを支える人たちのリアル』(竹信三恵子・戒能民江・瀬山紀子編、岩波ブックレット、2020年9月)を読み終える。 暗澹たる気持ちになる現場からの報告。会計年度任用職員制度そのものが、働くひとの尊厳を奪うもの。官…

『深夜航路』とはいかに。

おもしろい本を読んだ。たまたま本屋で出会った掘り出し物である。『深夜航路~午前0時からはじまる船旅』(清水浩史、草思社、2018年)である。 といっても、私の趣味のど真ん中ストライク、の内容だから、興味のわかない人も多いかもしれない。そういう人…

おもに住まい本が多かった

最近読み終えた本。『「高学歴ワーキングプア」からの脱出』(水月昭道、光文社新書、2020年5月) この問題に興味があったというより、『子どもの道くさ』の著者の本、ということで手に取った。軽妙なタッチで書かれてはいるが、いやはや、たいへんな世界で…

5月に読んだ本たち

5月も、基本的に軽い読み物ばかりでした。でも、仕事にもきっと活きてくる、と思えるものも多く。以下、読んだ順にぜんぶ紹介します。おすすめ度を★の数(5点満点)でつけます。 『共産党入党宣言』(小松泰信、新日本出版社、2020年)★★★とある講義準備の…

4月に読んだ軽めの本たち

前にちょっと書きましたが、4月は軽い読み物しか読んでいませんでした。以下、読んだ順に、ぜんぶ紹介します。おすすめ度を★の数(5点満点)でつけておきます。 本の表紙も、面倒くさいのでまとめて。『詩人の旅 増補新版』(田村隆一、中公文庫、2019年)★…

キレの、病気は、あやうく、みんなの、これからも

最近読み終えた本。『「キレ」の思考 「コク」の思考』(村山昇、東洋経済新聞社、2012年) 先日読んだ、同じ著者の『働き方の哲学』の様々な図解やモデル図は、こうした思考から生まれているんだなと確認。ものごとの本質にせまる、抽象化の作業は、とても…

『それを、真の名で呼ぶならば』

『それを、真の名で呼ぶならばー危機の時代と言葉の力』(レベッカ・ソルニット、渡辺由佳里訳、岩波書店、2020年1月)を読了。 読みごたえのあるエッセイであった。著者は米国の作家・歴史家・アクティヴィスト。物書きであり、活動家である。「まえが…

ゴミ清掃員、働き方、働く、基礎理論、戦後日本、雇われないで

『ゴミ清掃員の日常』 (原作/滝沢秀一、まんが/滝沢友紀、講談社、2019年) これは良かった。生活の匂いがする漫画。ゴミ清掃員さんのお仕事、社会のゴミ事情もよくわかる。オットが主人公の漫画を妻が描くのもスゴイ。『働き方の哲学』(村山昇著、若田…

個人的なことから普遍がみえる

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 (プレイディみかこ、新潮社、2019年)を読み終える。 プレイディさん、安定のおもしろさ。読みやすさ。11歳の息子さんとの会話が羨ましい。こんなに対等な議論ができるのが、さすがだなと。英国の地べたの…

「彼らを信頼すれば、未来はいつでも明るい」

『古くてあたらしい仕事』(島田潤一郎、新潮社、2019年)を読み終える。 久しぶりに「本らしい本」を読んだなあという読後感。著者(ひとり出版社を営む人)の仕事への姿勢や、文体から伝わってくる人柄に、背中を押された。勇気がわいてきた。ぼくもマイナ…

マルクス、男が、目標達成、ブッラク企業の

最近読み終えた本。『マルクス 弁証法観の進化を探る~「資本論」と諸草稿から』 (不破哲三、新日本出版社、2020年1月) これまで読んできたものとのダブりも多いけど、マルクスにも歴史ありだなあとしみじみ。不破氏の研究がなかったら、マルクスの読み方…

核兵器、偽装の、独ソ戦、この国の、フィンランド、慈雨

最近読み終えた本。『核兵器と原発~日本が抱える「核」のジレンマ』 (鈴木達治郎、講談社現代新書、2017年) 原子力政策の研究者なので、さまざまな論点で、扱うテーマも広かった。日本政府の無責任な原子力政策と核廃絶に背を向ける姿勢は、ほんとうにな…

沖縄と核、日米核密約、帝国と、原爆犯罪、戦後最悪の

最近読み終えた本。1月は合計16冊と、なかなかスタートよし。でも、だいたいここからダレルんですけどね。そうならないように、がんばりましょう。以下の5冊はすべてお仕事関連の読書でした。『沖縄と核』(松岡哲平、新潮社、2019年) 話題となった同名…

核ZERO予習のあいだに別ジャンルちょこちょこ

最近読み終えた本。核ZERO講座の予習ものが多いですが、あいだに別ジャンルもちょこちょこ。今年は150冊をゴールに設定して、ずんずん読んでいきたい。『似島-廣島とヒロシマ』(原水爆禁止似島少年少女のつどい実行委員会編、一粒の麦社、2012年) 明治…

ヒロシマ、日本人の、この世界、劫火を

最近読み終えた本。4冊中3冊は、核ZERO講座のための予習です。『ヒロシマ戦後史ー被爆体験はどう受けとめられてきたか』 (宇吹暁、岩波書店、2014年) 広島県史の編纂にも関わってきた研究者によるヒロシマの戦後。被爆の記憶継承、核廃絶の思想と運動を…

街場の、光にむかって、ながい坂、猫脳!

最近読んだ本。といっても、11月は出張が少なかったのもあり、読書すすまず。12月もたぶんすすまない。しょうがない。『街場のメディア論』(内田樹、光文社新書、2010年) 労働学校の「社会認識のつくり方」講義のための予習。おもしろい問題意識がいく…

看護、介護、世界は、近現代、介護、皮膚、呪いの、柳橋

最近読み終えた本。『看護を未来につなぐ ライフストーリーズ』(第36回日本看護科学学会学術集会企画委員編集、日本看護協会出版会、2018年) 日本の看護界を牽引してきた7人の大先輩看護師のライフストーリーを若手が聞くという企画。それぞれの人生の物語と…

目標達成本でモチベーションをあげている

最近読み終えた本。『なぜか好かれる人の「わからせる」技術』 (馬場啓介、サンマーク出版、2016年) 馬場さんのコーチング本3冊目。うーん、ちょっと内容がイマイチ。もちろん参考になるというか、自分がやってきたことの確認として役立つことはあったけど…

不思議の、目標達成、歌に、グループ、人間の、僕が

最近読み終えた本。『不思議の国のアリス』 (ルイス・キャロル、河合祥一郎訳、角川文庫、2010年) 松本市立美術館で開催中の不思議の国のアリス展に行く前の予習で。児童文学である原作読んだことなかったけど、かなりハチャメチャな物語だったなー。『目標…

犬が、神さま、人の、ママは、医療を、親愛なる、知の

最近読み終えた本。『犬が来る病院 命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと』 (大塚敦子、角川文庫、2019年2月) 小児病棟にセラピー犬を導入した聖路加国際病院。小児がんや難病を患う子どもたちと、トータルケアを実践する医療従事者の記録。終始ウルウ…

日本の戦争Ⅲ、歴史戦と、アイランド

最近読んだ本。『日本の戦争Ⅲ 天皇と戦争責任』(山田朗、新日本出版社、2019年7月) 類書も読んだことあるけど、最新の資料分析もふくめ検証。さすが山田さんという、昭和天皇のアジア太平洋戦争時の役割と責任論を整理。細部へのこだわりと執着。はやり歴史…

「当事者になる、というのは、エンパワーメントである」

『当事者主権』(中西正司・上野千鶴子、岩波新書、2003年)を読み終える。 以下、自分用のメモ。「当事者とは、『問題をかかえた人々』と同義ではない。問題を生み出す社会に適応してしまっては、ニーズは発生しない。ニーズ(必要)とは、欠乏や不足という意…

健康で文化的な、マルクス&エンゲルス

最近読んだ漫画。『健康で文化的な最低限度の生活(8)』 (柏木ハルコ、小学館、2019年7月) 8巻目は、たぶん初めてかもという希望ある終わり方。ケースワーカの奮闘。複雑で困難な事例を1つひとつ解きほぐしていく。『マルクス&エンゲルス 1』(野口美…

6月後半は出張が多く、まあまあ読めた。

最近読み終えた本。『さまよう遺骨 日本の「弔い」が消えていく』 (NHK取材班、NHK出版新書、2019年3月) ひとり世帯の増加、家族関係の希薄化などの影響もあり、遺骨が墓に納まらずさ迷っていると。いろいろ勉強に。日本は死んだあとも自己責任が貫かれてい…

看護師、エリノア、世界人権、災害看護、新宿ナ

最近読み終えた本。ソワニエ読書日記と人権講座の準備本を読むのでせいいっぱいな感じ。6月後半は出張が多いので、もっと読めるかな。『看護師という生き方』(近藤仁美、イースト新書Q、2018年) ソワニエ読書日記3冊目。看護師って、どういう職業?いまの看…

『対象喪失 悲しむということ』(中公新書)

『対象喪失 悲しむということ』(小此木啓吾、中公新書、1979年)を読み終える。 ソワニエ読書日記の4冊目。著者は、精神科医・精神医学者。対象とは、愛情や依存の対象。それを失ったときの精神構造と悲哀の分析。2015年で33刷という、超ロングセラーです…